1986 av FREDRIK

すっかり頭の中で延々回り続けており、
いやーいい曲だなーと思う「1986」という曲、
ちゃんとMP3で紹介してあったよ。

http://www.sagomusik.com/downloads/fredrik_nanani_04_1986.mp3

で、さっきまた聴きながら、1986年ってなんなんだろなーと思っていた。
きっとまだ子どもの頃の記憶のことなんかなーとか、のんきに。

したら、ministerとかshot him downとかall over nowとかいう言葉が耳に入って、
しばし、、、あー!!! と。

1986年、たしかにスウェーデンの大きな衝撃的な出来事があった年だ、と。


サイトのABOUTをみたらひとこと解説と歌詞がちゃんとありました。

「a small fable on the discovery of violence in the head of troubled 7-year old.」
つまり「混乱した7歳の頭の中で発見された暴力についての小さな寓話」。

寓話、とあるので名言はされていないけれども、
スウェーデン人には誰にでも(おそらく)わかってしまう。

当時の首相だったパルメが暗殺された出来事について歌っていたのでした。

1986年の2月、現職の首相だったそのひとは、映画を観にでかけた帰りの路上で撃たれた。
実行犯はつかまるも釈放されてすでに病死、真犯人は今もわからないまま。*1

わたしにはこの事件当時の直接の記憶はないけれども、スウェーデン人の友人たちが、
「どうなるんだろね」「絶対に解明されることはないよ、いろんな意味で無理だよ」とか言いながら、
「あのとき自分は何をしていたか」について話すのを聞いたことがある。

当時は7歳よりももっと小さかった子が、
「あのときはスキー旅行にでかけてて、キャンピングカーの中でラジオが流れてたのを覚えてる、なんだかわからないけど恐ろしい大変なことが起きたことだけはわかった、あれが僕のはっきりした最初の記憶かも」
と言ってたのがすごく印象的だった。

この曲はまさにそういう記憶、どうしようもないくらい大きなものによる
圧倒的な暴力というものを初めて意識した、ということについて書かれているんだと思う。
もちろん文字通り寓話的に書かれているのだけども。*2


ほのぼのいい曲だなー、と思って聴いてましたが、すごい衝撃の曲だった。


そういえば、LOVEKEVINSで大好きな曲「soviet.se」もわりにポリティカルだなあと思った記憶が。
もちろんユーモラスなんだけれども。だいたいにして、タイトルからしてポリティカルです。

*1:時効は20年だと思っていたのだけれども、25年ということで今も捜査が続けられている、らしい。は、よかったー。てっきりもう時効が来たとおもっていたのです。いろんな政治的な関係などから、解明されることはもう無理かもしれないけれども、それでもーー!と思う。スウェーデンの現行法では、終身刑に値する犯罪については25年なんだとか。

*2:もっというと、スウェーデンの社会の抱える闇のようなものの象徴的な現れとそれについてのことなのかもしれないと思う。「闇」ということばはあまりにも陳腐だけれども、でもそういうもの。国民性であり地域性であり精神性であり社会の構造からものであり、と複雑だとは思うのだけども、でもたしかにそういうダークなものがうごめいていると思う。こわい機関があるとかいう話ではなくてね。日本のそれとよく似た闇だと個人的には感じる。そういったものが、現職の大臣の暗殺、というあまりにもショッキングなかたちでぶわっと吹き出たことがこれまでに2度もある、ということは特筆すべきことではないかと思うのです。いつも言ってる話ですみませんが。